U.S.美容レポート

カリフォルニア州: Vered Salon 美容師&アーティスト Mitsuo Katoさん

数か月前のことだった。アーティスト活動をしている私たちに、友人が「アート活動をしている美容師さんがいるから、会ってみたら」とMitsuさんを紹介してくれた。すぐに会うことになり、意気投合。それ以来、ずいぶんと仲良くしていただいている。とてもアクティブでかっこいい方で、会う度にこんな大人になりたいなと思わせてくれるMitsuさん。今回、そんなMitsuさんに、お仕事の話を聞かせていただいた。

きっかけは英語の勉強。しかし、ロサンゼルスの魅力に魅かれ……

Mitsuさんが、ロサンゼルスにやってきたのは1978年。Mitsuさん、24歳の終わりでした。当時、東京で洋服のデザインやスタイリストをしていたMitsuさんは、ちょっと英語の勉強のつもりでロサンゼルスにやって来たそう。来た当初、3カ月ぐらいいるかなと思っていたが、L.A.がすっかり気に入りそのまま住むことにしたのです。

「ロサンゼルスのどんなところが気に入ったんですか?」と聞くと、こんな答えが返ってきた。「まずは、この青い空。そして、海もあって山もあって、砂漠にも簡単に行ける。こんな立地あまりないでしょう。人の目を気にせずに何でも好きなことができると言うのも良いですね。やりたいことは何でもできる。そういう環境だからこそ、自分の才能を信じていれば、自分の才能を確実に発揮できる。逆に言うと、自分の可能性を信じることのできない人には、合わない場所でもありますね」。

スタイリストをされていたMitsuさんが美容師になったのは、友人の一言がきっかけだった。「ロサンゼルスが気に入って、これからここで何をしようかなと思っていたんです。1980年代のアメリカのファッションは、東京に比べると10年遅れていたので、こちらのファッション業界で働くという感じではなかったんですよね。その時に、美容師の友達が、“美容学校にでも行ったら”と言ってくれたので行くことにしたんです」とMitsuさん。それから24年間、Sunset Plazaの中のお店に勤め、たくさんのお客さんの髪を切ってきました。

日本とアメリカでは全く違う美容師さんとお客さんの関係

美容師さんとお客さんの関係は、日本とアメリカではずいぶんと違うそう。アメリカの場合、一度仲良くなると家族ぐるみの付き合いが始まることが多く、おばあちゃんからお孫さんまで担当することもあるのです。そして、付き合いは、美容室の中だけではなく外にも及ぶ。Mitsuさんは以前、お客さんの招待でクルーズに行ったこともあると言う。「日本では、ちょっと考えられない関係ですが、こちらではそういう付き合いが当然のようにあるんです」と、Mitsuさん。

このように、どのような人たちとも接する機会があるため、Mitsuさんは、美容師として様々なことに心がけています。話題のレストランに行く。新しい映画を見る。新聞やテレビで社会情勢を知る。体力作りをする。そうやって、常に自分を磨いています。

Mitsuさんは、「美容師はセラピストでもある」と良く言います。「お客さんは、髪を切るためだけに美容室に来るのではなく、話をしにも来るのです。ですから、聞き上手じゃなければいけません。また、アドバイスを求められれば、的確にアドバイスをしてあげることも大切です。こういった関係を築くことによって、長く続く信頼関係ができるのです」。

美容師はアーティストであれ!

Mitsuさんが現在働いているメルローズにある「Vered Salon」の入り口には、いくつものオブジェが飾られています。他では全く見たことのないような個性的なオブジェばかり。そして、それらはすべてMitsuさんの手作り。

「昔から、いろいろなオブジェを作っていました。インスピレーションが湧く時に一気に作ることが多いですね。今のお店の内装も私がデザインしましたし、待合室のオブジェも私が作りました。住んでいるコンドのエントランスにスペースがあるんですが、そこにもオブジェを置いています。以前勤めていたお店は、完全に私のギャラリーになっていましたよ。今のお店も、前のお店も、立地上ハリウッドの映画関係者のお客さんがたくさんいらっしゃいます。その中に、たまたま飾っていたオブジェが気に入ってくれた方がいて、そのオブジェは、映画『トータルリコール』に使われました。透明なアクリルの表面をフロスト加工した素材で作った近未来な感じのものです。大きな作品を作るのにはとても時間がかかります。まずは、丁寧にパーツを作って、それから1つ1つ組み合わせていきます。同じアクリル素材の小さな名刺立ては、とても売れて、何十個という単位で注文が入り、大変やら嬉しいやらという思いをしたこともあります。今は、温かみのある木の素材を好んで使っています。お店は、美容師としてもアーティストとしても自分の世界を表現し、アピールする場です。ですから、インテリアもファッションも、いつでも自分の個性が出るようにしています」。

このように、根っからのアーティストのMitsuさんなのです。

若い美容師さんへのメッセージ

「アメリカで何かをやりたいと思ったら、とりあえず来てみればいい。合う人、合わない人がいるのは当然。ここが好きになったら居て、嫌いなら帰ればいい。ここは個性の国。個性をいかに売るかを考えることが大切。自分の夢の実現に向かってがんばれ!」

アメリカで自分のやりたいことを表現し、現実にやってきた人たちがいつも言うのは、「アメリカは、自分がやりたいという信念を持ってやっていれば、必ず扉が開く国」ということ。もし今、アメリカに行ってやってみようかどうしようかと迷っている人がいたら、考えるより先に、来てみたらいいのではないでしょうか。

サロンのアドレス:http://www.veredsalon.com/
8252 Melrose Ave. Los Angeles CA 90046

インタビュー 芦刈いづみ

 

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